機械式時計が正確な精度を保つ為にはゼンマイからの安定した動力が必要です。
自動巻時計は腕の運動と連動して、ゼンマイの巻上げを補助するように設計されています。
・時間が進む/遅れる
・持続時間が短くなる
このような症状が出た場合は、ゼンマイの巻上げが不十分な状態でご使用されている可能性がありますので、
一度リューズを使用してゼンマイを手で巻いてからご使用ください。
また、止まっている時計をご使用される際や、メンテナンスから戻ってきた際も、手でリューズを30~40回転巻いてからご使用いただきますようお願い致します。
時計が強い磁気を帯びると、時間の大きな進み、遅れの原因となります。
磁気は、磁石を内蔵する機器や、コイルに電流が流れる電気製品より発生し、こうした機器は日常生活の中に数多く存在します。
(例)磁気ネックレス、磁気ブレスレット、スピーカー等の電気製品など
時計は磁力の高い機器に近づけないよう、特に時計を腕からはずした時の置き場所にご注意くださるようお願い致します。
カレンダー機構に不具合が生じることがあるため、早送りカレンダー付の時計は、下記の時間帯ではカレンダーの早送り修正をしないようお願い致します。
●夜中の12時に日付が変わってから、午前6時までの6時間。
●針を時計と逆方向(左回り)に回した場合、日付が変わってから午後4時までの8時間。
止まっている時計を初めてご使用になる時(ゼンマイの残量がなくなっている場合)は、リューズで20回から30回位ゼンマイをゆっくり巻上げ、動いている事を確認して下さい。
早くリューズを回転させますと、自動巻機構に故障が生じる事がありますのでご注意下さい。
時間(カレンダー付は、午前、午後の時を正しく確認)を合わせて腕に装着します。
* 一般的には、日常生活で8時間以上装着していれば腕が動く事により僅かずつゼンマイが巻きあがり腕から外しても持続時間は十分に保持します。
特に自動車運転時のハンドル操作は巻き上げ率が良くなります。
翌朝、時刻が合っていればそのまま装着してご使用下さい。
* 腕に装着していても運動量が少ない時は、ゼンマイの巻き上げも減少し、翌朝には時刻の遅れや進み、又は止まってしまう事があります。
デスクワークの時間が長く腕の動きの少ない時は持続時間が短くなります。
この場合、時計の故障ではありませんので腕から外された際に、リューズでゆっくり20回から30回位ゼンマイを巻き上げて下さい。
翌朝に時刻が合っていればそのまま装着してご使用できますが、時刻が違っていたり止まっている場合は、ゼンマイの巻き上げが少ないので、リューズで巻き上げる回数を少し増やして下さい。
★自動巻は、いくら巻いても巻き止まりはありません。
自動巻きの腕時計は、ある程度活動的な人に携帯されて、毎日ゼンマイが24時間分以上巻き上げられていれば、その持続時間に問題はありませんが、非活動的な人に携帯されて毎日24時間分まで巻き上げられない事になった時は、その持続時間は次第に減少してきて、ついには止まる事となります。
また、この事によりまして自動巻き腕時計が携帯されて巻き上げられる量は、活動的な人と非活動的な人との間で明確な差が出てきます。
さらに同一人であっても、毎日一定している訳ではなく、日によってかなりの変動がその運動量に応じたものとして表れます。
★ 活動的な人の場合
普通程度に腕を動かす人の場合、ほとんどいっぱい近くゼンマイが巻かれて、腕から外しても1日半以上持続します。
★ 非活動的な人の場合(腕の動きが少ない人)
腕につけても腕の動きが少ない事によって、巻き上げ量も少なくなり、時計を外して11時間から24時間そのままの場合には、毎日意識的に巻き上げな
い限り、最初に全巻きしておいても、ある日数で時計が止まる事になります。
手巻き時計のように、リューズを1日に20回から30回巻き上げてお使い下さい。
危険な場所 | 具体例 | |
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高温・低音・多湿な場所 | 風呂場・サウナ・車中放置・加湿器のそば・押入れでの保管など | |
水場 | 海・プール・風呂場・サウナ・雨天時・洗車時など | |
長時間、直射日光にさらされる場所 | 海・プール・窓際など | |
化学薬品のそば | 医療施設・学校・化学工場・温泉など | |
磁気製品のそば | 磁気製品 | 磁気の強さ(ガウス) |
ヘアードライヤー・電気毛布 | 10 | |
テレビ用スピーカー | 30 | |
電話機・電気カミソリ | 50 | |
マイク・黒板用磁石 | 60 | |
携帯電話・大型スピーカー | 100 | |
電動マージャン卓 | 200~500 | |
磁気バンソウコウ・磁気ブレスレット | 600~1300 |
電池が切れた状態で長期間放置されますと、液漏れを起こす場合があります。
漏液はムーブメントの部品を腐食させるなどの悪影響を及ぼすこともあり、その場合は電池交換だけでは済まなくなってしまいます。
電池が切れましたら、お早めに交換頂くことをおすすめ致します。
ムーブメントには、部品を円滑に動かすために多数の潤滑油が使われています。
その油は揮発性の物質ですので、ご使用年数を重ねるごとに渇いて、最終的には切れてしまいます。
油が切れてしまった状態でご使用になられますと、部品の磨耗を早めたり、傷めたりしてしまいます。
油切れが生じるまでの期間は、一般的に3~5年と言われており、このため3~5年に一度、オーバーホール作業が必要になります。
一般的に『錆びない金属』として知られるステンレスですが、この耐食性は表面に『膜』を作ることで可能になっています。
この膜は『不動体被膜』と呼ばれ、ステンレスに含有されているクロム元素という物質と、空気中の酸素との結合によって何度でも再生します。
ところが、汗や汚れなどで表面が「覆われ、空気中の酸素が得られない状態が続くと、模の再生が出来なくなり錆びてしまいます。
ステンレスの耐食性は永久不変の特性ではなく、洗浄や拭き取りといった定期的なお手入れによって維持出来るものなのです。
さほど手間がかからず効果的なのが水洗いです。
使わなくなった歯ブラシで、ベルトのコマの隙間など汚れが溜まりやすい部分をプラッシングして頂くと、かなりきれいになります。
水洗い後は必ず乾いた布で水分をよく拭き取って下さい。
溜まった汚れは『研磨剤』のような働きをしてしまい、プレスの傷や消耗を早めます。
水洗いが効果的なのは時計本体も同じですが、本体については時計によって防水性能が異なるため、布拭きをおすすめします。
特に雨天時の使用など、水分が付着した場合には、柔らかい布でよく拭き取って下さい。
『生活パターン』や『使用環境』が原因で生じる不具合 | ||
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症状 | 考えられる原因 | 説明 |
止まる・進み・遅れ | 強い磁界でのご使用 (磁気帯び) |
時計の部品には、磁気を帯びやすい磁性材料が数多く使われています。その為、強い磁界の中では、止まりや精度不良といった不具合が生じる場合があります。また磁気が残留してしまった場合(磁気帯び)には、磁界を抜けても正常に作動しない場合があります。電化製品やOA機器など、身の回りには多数の磁気製品が存在します。特に最近では携帯電話の普及と比例して磁気帯びによる時計の不具合が急増しております。磁気を帯びてしまった場合は磁気抜きが必要です。 |
止まる・進み・遅れ | ゼンマイの巻上不足 (自動巻のみ) |
自動巻時計はローターという回転鍾の回転によってゼンマイの巻上げが行われている時計です。その為時計を腕にはめていても、腕の運動量が少ない場合にはローターの回転数が減り、ゼンマイが十分に巻かれていない場合があります。デスクワークをされていたり、時計を外されている時間が長い方などに多く見られます。 |
進み・遅れ | 温度差 | 大半の時計は、おおよそ0度~40度以内の気温において正常に作動するように設計されております。この範囲を超える状況下で長時間放置された場合(体温が加わらない状態)には、機械時計の場合は0度以下だと進みに、40度以上だと遅れが生じる傾向があり、電池時計の場合はどちらの精度不良も生じることがございます。常温に戻すと正常に作動します。 |
くもり | 時計内部には、大気中にあるものと同じ空気が入っています。空気中には多少の湿気が含まれているため、外気が時計内部よりも低くなると湿気が結露として現れ、カラス内側がくもる場合があります。夏・冬など、室温と外気の気温差が大きい季節によく見られます。(一時的なものでしたら問題ありませんが、いつまでもそのくもりが取れない場合は修理が必要です。) |
『一般的』生じる不具合 (修理を必要としないケース) | ||
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症状 | 考えられる原因 | 説明 |
止まる・進み・遅れ | 強い磁界でのご使用 | 強い磁界でのみ起こります。(磁気が残留し、その後も続く場合は修理が必要です) |
ゼンマイの巻上不足 (自動巻のみ) |
ゼンマイの巻上げ量が不足している場合にのみ起こります。 | |
進み | 激しい動き (機械時計のみ) |
時計を着けたままでスポーツなどの激しい動きをすると、激しい動きをしている間、一時的に進みが生じることがあります。 |
一般的なヒゲ絡み (機械時計のみ) |
一時的にテンプのヒゲゼンマイが絡まる不具合です。稀に何かの拍子で元に戻ることがあります。 | |
進み・遅れ | 気温差 | およそ0度~40度の範囲を超えた状況下におかれた場合にのみ生じます。常温に戻すと正常に作動します。時計内の空気に含まれる湿気が、温度差によって一時的に結露として現れる場合があります。(水滴になるなど、いつまでも取れない場合は修理が必要です。) |
くもり |
『衝撃』によって生じる不具合(修理が必要なケース) | ||
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症状 | 考えられる原因 | 説明 |
止まる・進み・遅れ | ショックバネ外れ | ショックバネとは、その名の通り耐衝撃用のエスケープバネです。このバネは、時計が衝撃を受けるとテンプという高価な部品の破損を防ぐため、外れる仕組みになっています。バネが外れると同時に時計は止まります。衝撃が強く、ショックバネだけで逃げ切れない場合はテンプが破損する場合があります。また、バネが外れるほどの衝撃でない場合は、完全にバネが外れず動き続けますが、大幅な精度不良が生じます。 |
進み | ヒゲ絡み (機械時計のみ) |
機械時計の調速機構には、テンプという部品が使われています。このテンプは往復運動によって時計の動きを抑制していますが、この往復運動はヒゲゼンマイと呼ばれるゼンマイの動きで可能になっています。ヒゲゼンマイは大変綿細な部品で、時計が強いショックを受けた場合にはショックの拍子に絡まってしまう事があります。 |
『誤操作』によって生じる不具合(修理が必要なケース) | ||
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症状 | 考えられる原因 | 説明 |
リューズ | カレンダー不良 | カレンダー操作禁止時間帯で操作した可能性があります。PM8時~PM4時の間でのカレンダー操作は故障の原因になります。 |
リューズが抜けた | リューズを引っ張り過ぎたことが原因で内装部品が破損した可能性があります。 | |
巻芯が折れた | 無理な力によって、負荷に耐え切れず折れた可能性があります。 | |
回転式ベゼル | 片方向にしか回らないはずのベゼルが両方向に回る | 可動式のベゼルであるため、板バネやピンなどといった小部品で留められているものが大半で、小部品は決して頑強なパーツではありません。そのため、逆方向に回すなどの無理な力が加わると、ベゼルを止めている小部品が破損し、両方向に回転したり、外れてしまう場合があります。 |
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